「日本語の文章術」まとめ その1

 奥秋義信の「日本語の文章術」。学生時代に購入しましたが、今は絶版となっています。総ページ数724Pの分厚さのあまり、ずうっと積読のままでしたが、仕事柄文書を作成する機会も多いので読んでみようと思い立ちました。

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奥秋 義信

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 何回かのシリーズに分けて、内容を要約したり紹介していこうと思います。

良い文章と悪い文章の区別

本書はぶ厚い本ですが、表現はとても読みやすく書かれています。まず、良い文章と悪い文章の区別を以下のように表現しています。

 「良い」と「悪い」との区別はつきつめれば、コミュニケーション手段としての文章が、有効に働いているかいないかで判断すべきでしょう。…正確にわかりやすく伝達行為を可能にする文章こそが求められているのです。

そして、内容はまず文章の種類を、叙述型文章と主題先述型文章に分けて説明をしていきます。

 一般に、論文や歴史的な記述などでは、導入部から始まって結論に到達する構文が選ばれます。これは叙述型文章といわれる型です。
 ビジネス文章やその他の実用文では、結論あるいは主題から書き起こし、内容を補足していく構文が選ばれます。これは主題先述型文章といわれる型です。新聞記事や放送ニュースがこの型なので、別名マスコミ型文章とも呼ばれます。

 こう考えると、ブログは主題先述型文章が多く選ばれるのだろうと思います。

 内容や場面によって適した文章の形があることを著者は指摘します。例えば、難しい言い回しが多用される法律文について

 法律文の場合は、ただわかりさえすればよいというものではありません。すべての抜け道を防がなければ、役には立たないからなのです。…
 実用文は違います。与えられた、その場面だけを明快に説明していれば十分なのです。あらゆる場面を想定する必要はありません。…
 法律文は法律文、実用文は実用文、というふうに区別して考えるべきではないでしょうか。実用文を法律文のような調子で書くのがいけないのです。

 これは、とても明快な指摘です。文章にも、目的やそれが読まれる場面があって、いわば文章のTPOにあった表現がつかわれるべきだということです。
 内容は、叙述型の文章と実務型の文章の構成の違いに向かっていきます。

文章術

 叙述型をそのまま逆立ちさせれば、実務型になると考えるのは早計すぎます。「ピラミッド」か「逆ピラミッド」かは、文章構成上の重要度を形に表したにすぎません。三角形で表した構文内の各面積は、文の量ではなく、重要度を示しているのです。叙述型では、序論→結論と書き進み、結論でまとめ上げますが、最後の結論に最大のウェイトがかかります。実務型では逆に、最初にくるh巣台に重点が置かれ、本文→“とめ”はこれを補っていく構成です。

パラグラフ

 文章を設計していく上で、私は段落をまとめるのがどうも苦手なのですが、そのあたりの説明も簡潔です。

 グループごとに思考や事実がまとめられ、配置されます。読み手はグループごとに意味をつかみ、読み進んで全体像を理解するという順序をたどるのです。このような基文のグループで、意味上一つのまとまった考えを表す文群を「段落」といいます。…段落の区切りを示すために、文章作法では、一字下げの改行を行います。これを「形式段落」といいいます。形式段落には絶対的な基準があるわけではありません。…形式段落に対して内容上からとらえた文群を「意味段落」といいます。意味段落にも個人差があるのは当然ですが、形式段落と意味段落とが一致しているのが文章表現としては望ましいという考えもあります。

自分の中では、意味段落と形式段落が異なる場合があって、必ずしも段落分けに正解がある訳ではないのだ、ということが目から鱗でした。

論文とビジネス文書

さらに、論文とビジネス文章の2つを比較していきます。

 叙述型文章の代表は論文ですが、論文ではなぜ結論が最後にくるのでしょうか。論文の結論は、読み手の合意あるいは納得を得るための手続きを抜きにしては、書くことが許されません。少なくとも、読み手が納得するであろう道筋だけは立てる必要があります。この手間を省いて結論を書いたのでは、独断になってしまうのです。独断は論文ではありません。いや、論文の自殺です。
 論文が、自ら求める結論への道筋を立てる行為――これを証明もしくは論証といいます。その意味では、論文にとって証明は結論以上に大切なものかもしれません。結論は、証明さえきちんとなされれば、必然的に導き出される結果にすぎないともいえるでしょう。論文とは証明の積み重ね以外の何ものでもありません。証明の積み重ねの延長線上にこそ結論があります。「論文は証明なり」といわれるとおりです。

 ビジネス文には証明は要りません。ここで最も大切なのは…主題なのです。
 主題には証明は要りません。…ビジネス分は、事実を前提としたコミュニケーション手段だからなのです。事実に証明は要りません。

 事情説明と論証とは違います。論証とは、主張を証明する事であり、事情説明は事実を明らかにすることです。

事実や主張、論証、説明などなど、ごっちゃになってしまいそうな概念を丁寧に紐解いてくれています。論文と新聞、どちらもソコソコ硬い文章ってことでいいんじゃないの?と思っていた自分の認識が恥ずかしいです。

まとめ

要は、ケースに応じて形式を選択すると理解してください。どのような文章形式が、求められる伝達目的に最も適しているかで選ぶことです。どの文章形式が優れているかではありません。まして、勝手な好みで“型”を決めるのは失敗の原因になります。

未だ読み進めている途中ではありますが、本書が分厚い割にとても読みやすく書かれていることに驚きます。これは一重に書き手の能力によるところが大きいと思いますが、それだけに、この本が絶版書籍であるというのは、少し寂しく感じます。こういった本こそ、電子書籍化してもらって読まれていくべきではないだろうかと感じています。

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