「日本語の文章術」まとめ その4

 第6章 悪文の条件。パッと見ただけで身構えるようなタイトルです。伝わりづらい文章とは、どういったものか?それをどのように書きかえれば、内容が分かりやすくなるのかを扱っています。

日本語の文章術―文章の書き方百科 小論文からビジネス文まで 日本語の文章術―文章の書き方百科 小論文からビジネス文まで
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 この章では、指示代名詞の繰り返しや、終止形がすっきりしない、「たり」をくり返さず使ってしまうなど、自分の癖と重なる部分への指摘も多く勉強になります。また、現在形と過去形の併用の仕方や、上手な列挙文の書き方など、具体的な方法が紹介されている所が嬉しかったです。

同語反復文

 まず、独り善がりな文や、体言止めの連続などは良くないと指摘があった後、同じ言葉をくり返す同語反復文について触れていきます。

同じ言葉の繰り返しはできるだけ避けるようにするのが文章の上手というものなのです。特に、同じ言葉を近づけて反復使用するのはよくありません。文章全体を疎略なイメージにしてしまいます。
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使いたい言葉を安易に繰り返すことを抑えて、別の言葉、変化のある表現で展開するように心掛けましょう。

用語の繰り返し使用とは別に、「それ」「その」などの指示代名詞はなるべく用いないで、文脈で表した方がよいのです。指示する言葉の使い過ぎは、文章を貧しく感じさせます。

 この指示代名詞の使い過ぎは良くやってしまいます。さすがに同語反復をしないようには気をつけてはいますが、指示題名をかっこよく使おうとして失敗していることはこれまでたくさん経験しました。

 くり返しを避けていくためには、語彙を増やしていくとともに、その使い方を覚える必要があります。

ビジネス文や公用文では、「より」と「から」の区別が必要になります。「より」は比較を表すときに使い、起点を示すには「から」にしなければなりません。

「である」症候群

 この章を読んでいて、もっとも興味深かったのは「文末」についての指針です。悪文とリライト文の比較では、文末を変えただけなのにスッと意味の入ってくる感覚が全く違っています。

 「です・ます」の文体では、ある程度「です」と「ます」に固定されるのはやむを得ません。ほかに止め言葉がないからです。
 「ある・である」を用いた文体では、事情がまったく異なります。「行く」「なった」「ならない」「なる」「用いる」「指す」「赤い」「大きい」「~てみたい」など、動詞・形容詞のあらゆる終止形を自在に使いこなすことが可能になるからです。
 “もの書き”と呼ばれるプロの文筆家には、「ある・である」を用いた文章を書く人が多いのはなぜでしょうか。ひとつには、文末に変化がつけやすく多様性に富んだ作品をものするのに都合が良いからです。

 そして、過去形と現在形の文章を織り交ぜた書き方が紹介されます。

現在形の文章中に過去形が、過去形の文章中に現在形が、それぞれ登場することによって、各分の流れが引き締まってくるのです。文章の内容が、過去と現在になるわけではなりません。各分が形として過去形や現在形をとるのです。これも大切な原則の一つですから、頭に入れておいてください。
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本来は、全体が過去形になる文章のはずです。この中に、さりげなく現在形を持ち込み、変化をつけているところに、文章力というものがあるのではないでしょうか。

 私はこれまで現在形と過去形を同時に使うのは良くないことだと思ってきました。例え、現在形と過去形を一緒に使って文章を書くときにも、「これは正しくないことだけれど、読みやすいのでこのように書こう」と、後ろめたいような気持ちがありました。この部分を読んで、自分の誤解に気づきます。英語学習での時制の一致の原則と日本語の書き方を、私は混乱して覚えていたようです。現在形と過去形の併用を「やってよい」と説明されただけで、今後の文章の幅は広がりそうです。

「である」文で特に注意しなければならないのは、「である」に準体助詞の付いた「のである」という止め方の用法です。
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連体形というのは、外見上は終止形と同じです。ですから、終止形として用いればよいでしょう。「いるのである」「なったのである」「強いのである」などとせずに「いる」「なった」「強い」とすればよいわけです。

 「である」の連続はよくやってしまいますね・・・。文末のバリエーションを増やすことが豊かな表現に繋がるので、今後の工夫していきたいポイントです。

ものまね文

 ものまね文「ぱっと見て、すぐまねだなとわかる書き方はやめましょう」については、また、別のエントリーでまとめようと思います。

混合文体

 現在形と過去形の併用は勧められますが、敬体と常体の混同は明確に禁止されます。

対外者として読み手を意識するときには「です・ます」体を用い、対外者として意識しないとき、あるいはそのような意識の弱い場合には「ある・である」体を用います。

「です・ます」文体と「ある・である」文体とを混同して用いてはなりません。対者意識が支離滅裂の文章になってしまうからと、おわかりでしょう。これは重要な原則です。敬体と常体とが入り乱れて書かれている文章を見ることがあります。“混合文体”と呼ばれる、このような文章は決して書かないように注意しましょう。

 現在形と過去形は一緒に使っても良いけれど、「です・ます」と「ある・である」形は同時に使ってはいけないということですね。

引用符名文

 この中では、以前からよく理解ができなかった要旨の引用について書かれていました。

書物や論文などから引用するとき、引用しようとする箇所が長すぎるとか読みにくいとかいうようであれば、要点や主旨を伝えるという紹介の方法は許されます。ただ、伝えるべきポイントは自己の責任で、正しく表現しなければなりません。
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 要旨紹介の場合には、全文を完全に理解し、これを自己の責任において正しく要約するという心掛けが求められます。その点さえしっかりしていれば、読者は難解な論文や読みにくい古文などに直接当たるという苦痛から解放されるという利点もあります。

 引用は原文で書かれている通りに載せなくてはならないと習っていたのに、「なんで自分勝手にポイントをまとめて書いているんだろう?」と不思議に思っていました。要旨の引用もれっきとした引用方法の一つなんですね。この方法がスマートに使いこなせるようになると、自分の主張を過不足ない量で表現することができるようになるでしょう。

まとめ

この章は、自分の襟元をただして、今後の「書く」行為を変化させていくのにとても役立つものでした。また、『文体論』の中で、ビュッフォンの言ってる「文体とは、人が自分の思想に加える秩序と運行とに他ならない」という言葉はとても印象深かったです。

ただ考えをテキストにするのではなくて、頭の中にある考えや矛盾する事柄、価値観などを、自分がどんな風に秩序立てていきたいかということを考えたいですね。

関連エントリ

「日本語の文章術」まとめ その1
「日本語の文章術」まとめ その2
「日本語の文章術」まとめ その3
「日本語の文章術」まとめ その5
「日本語の文章術」まとめ その6

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