「日本語の文章術」まとめ その6

 シリーズで続けてきた、絶版本要約もついに最終回です。総ページ数724は、読み応えがありました。今回の内容は、第9章「文章用語の約束」と第10章「句読点と符号」です。

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文章用語の約束

この章では、混同しやすい助詞や並列表現の使い分け方法が紹介されています。実際に文章を書く場面で、役立つ指摘がたくさんありました。

「は」と「が」の使い分け

 主語を表す助詞には二つあります。「は」と「が」です。では、「は」と「が」とは同じ働きをしているのでしょうか。…「が」」は主格を表す格助詞で、「が」の前に置かれた主語の格そのものを指し示します。一方の「は」は主語の係りを表す係助詞で、「は」の後に続く述語の行方を示すのです。

 「は」と「が」の使い分けのポイントは、6つ紹介されていますが、その内の2つを紹介します。

❸係助詞の「は」は、他を連想せず、他を問題とせず、述部を強調する。格助詞の「が」は、他と区別し、指名的に主語を取り上げる。…
❹「が」は主語を登場させ、「は」は主語の内容を取り出して具体化させる。あるいは主語の状態を明らかにする。…

 主語がどうなったかを強調する場合には「は」、主語そのものを強調する場合には「が」と大まかに捉えて使うだけでも、文章は分かりやすくなりそうです。

「たり・たり」の語法

 この章でことさらに強調されていたのが、並列表現を正しく書くということでした。

 分の内容を並列して述べなければならないときは、並列であることを明示した型で文章にしなければなりません。それが「たり・たり」の語法なのです。一方の語句の状況説明で「たり」を用いたら、もう一方の並列語句にも「たり」を用いて状況説明として照応させます。…
 「たり」は並列するそれぞれの語に付かなければなりません。ですから、「跳んだり跳ねて喜んだ」というような、一方にだけ「たり」を付けた書き方は、正しい文形とはいえないのです。

 この悪例でもあるような「~したり、~した」みたいな表現を、僕はよく使ってしまいます。今後は改めたいと思いました。

 並立を表す語は「たり・たり」だけではありません。「とか・とか」「でも・でも」「やら・やら」「だの・だの」「なり・なり」「にも・にも」などがあります。これらを総称して“並立助詞”あるいは“並列助詞”といいます。

 また、こういった並立助詞も単独使用が可能な場合として「食事でもいかがですか」といった、いくつかの物から1つを選び出したという含みを持たせるパターンが紹介されています。
 個人的にとても勉強になったのは、並立表現の否定の書き方です。「~たり、~たりしない」という形なのですが、自分は今まで「~しなかったり、~しなかったり」という書き方をしていたので、変えていこうと思います。

「より」と「から」の区別

 「より」と「から」の使い分けでは、「公用文作成の要領」の基準が引用されていました。

 時および場所の起点を示すには、「から」を用いて、「より」は用いない。「より」は、比較を示す場合だけ用いる。

 基準は、明確ですが「御社より依頼のありました……」、「心より御礼申し上げます」など無害に感じられる誤用も存在しているため、誤った習慣がついてしまい、本来使ってはいけない場面で、「より」を使ってしまうというパターンが紹介されていました。

「に」は対象、「へ」は方向

 このあたりの区別を僕はほとんど意識したことがありませんでした。

 「に」は、他の物と区別してその対象なり目的点なりを支持する言い方に用います。これに対して、「へ」には他のものと区別する意識はありません。動きの方向を表す助詞です。…
 ある場所を表そうとするとき、その地点(位置)が問題であれば「に」となり、その方向が問題であれば「へ」となると考えればわかりやすいでしょう。

「以上」「以下」の使い分け

 「以上」「以下」は起算点を含み、「超える」「未満」は起算点を含まない、と覚えておいてください。

 「以上」とは「未満」を組み合わせ、「以下」とは「超える」を組み合わせることになります。これが、日付については「以前」と「後」、「以後」と「前」を組み合わせます。
 個人的には、「超える」を使ったことがなかったため、今後の表記は容易になりそうです。

句読点と符号

 最後の章では、句読点やその他の符号の使い方が説明されます。

 新聞記事で句読点の付け方がやかましくいわれるようになったのは、第二児大戦後、つまり1945年以降のことなのです。それでも戦後間もないころは、あいまいな用い方が多く、一定の基準を設けるところまでは至りませんでした。

 私は、明治くらいからはずっと「、」とか「。」は使われているような感覚だったので、この部分を読んでいて「へ~」と感嘆してしまいました。
 句読点については多くのルールが紹介されています。

 句読法では、読点の直前の語句に重点がくるという決まりがあるからです。それは読点によって、読点の直前の語句が文末に引き付けられることを意味しています。<文末が決定する>という日本文の特質を思い出してください。

 ただし、絶対的な決まりがあるわけではありません。「要は、原則を生かしながら、それぞれの文意の勢いや分別性などを考慮して調節する作文術が必要なのです」ということなのでしょう。

まとめ

 全6回のシリーズに分けて、絶版本「日本語の文章術」の要約を行ってきました。ビジネス書では、簡単に読めて使いやすいルールが紹介されている本が多くありますが、本書のような日本語の原理について掘り下げた本を読んでみるのも良いものだと思いました。記者、文章のプロとして仕事をしてきた著者の日本語への哲学が感じられる一冊でした。今回の知識をできる限り、このブログの執筆活動にも反映していくつもりです。いつか、昔書いたエントリーを見返して、「自分も成長したんだな」と実感できたら幸いです。

関連エントリ

「日本語の文章術」まとめ その1
「日本語の文章術」まとめ その2
「日本語の文章術」まとめ その3
「日本語の文章術」まとめ その4
「日本語の文章術」まとめ その5

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