使える行動分析学(島宗理)がスゴイ!

 行動分析学という言葉を聞いたことがありますか?行動分析学とは心理学の領域の一つで、人間または動物などの行動を分析する学問です。『独立変数(環境)を操作することで従属変数(行動)がどの程度変化したかを記述することによって、行動の「原理」や「法則」を導き出す』という特徴があります。


使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書)

 本書は、著者が大学の講義で行っている体験学習(?)をまとめて紹介したものです。

「自分を知る」ために、「自分の行動」を「変える」

 私たちは自分を言い表すときに、性格という言葉を使います。人見知りだとか、社交的だとか、頑張り屋だとかがそれです。性格は便利ですが、デメリットもあります。それはトートロジーに陥りやすいということです。例えば、「私は社交的だから人と仲良くなれる」と原因結果を説明して、反対に「人と仲良くなれるから私は社交的だ」と逆の説明も簡単にできてしまい、結局何も説明できていない状態になってしまいます。
 そこで、本書では少し異なった方向からアプローチしていきます。

 じぶん実験では、何とかしたいと考えている自分の行動を変えていきながら、同時に自分を理解していきます。

 行動分析学からの自己理解は、自分の行動を強化したり、弱化している好子や嫌子を知ることから始まります。そして次のステップとして、それ以外の好子や嫌子で自分の行動が制御される可能性について考えてみます。・・・
 人生はなかなか思い通りにはならないものですが、少なくとも、どんなときに、なぜ思い通りにならないのかがわかるようになるからです。

 自分を知るということについて、僕はずーっとたくさん考えて、自分の内面へ内面へと掘り下げていくことだと信じてきました。しかし、それとは全くことなる方法で、自分について分かることができるというのは、目から鱗が落ちる感覚でした。

 そして、「どんな形の行動をしているか」「What」よりも、「その行動にどんな意味があるか」ということが重要だと指摘されます。

 サン=テグジュペリが『星の王子さま』で語るように、大切なものは目に見えません。行動には目に見えるものもありますし、目に見えないものもありますが、大切なのはその機能です。機能はそのままでは目には見えません。そのために随伴性ダイアグラムを描いて制御変数を推定したり、環境を変えてそれが行動に及ぼす影響をグラフにして可視化するのです。
 行動分析学、そしてじぶん実験は、環境と行動の関係性という目に見えない大切なことを、目に見えるようにする方法論であるとも言えます。

 形にとらわれないことが大切だ、というのは良く耳にしますし、自分でもなんとなくわかっていると思っていました。けれど、形にとらわれず大切なものを見つける“方法”が(禅とか神秘体験以外に…)あるのだというのは、考えてきませんでした。

じぶん実験の面白さ

 これは、ぜひ本書を読んでもらいたいのですが、そのじぶん実験のアイデアがふんだんに盛り込まれているのが本書の魅力の一つです。
 自分の行動が続いているその日常の繰り返しの中に、「好子がそこにあったんだ」という体験や、そこにある物は変わらないけれど『ズラす』ことによって変化がもたらされる、まるで魔法のような考え方の転換でした。
 僕はこれまでに、自分を変えようとしてきたことは多くありました。けれど、それは一日の全ての行動を変えようとしていたように思います。しかも、意識することによってそれを成し遂げようとしていました。何をするかを具体的にして、焦点を絞るということが出来ていなかったなと反省しました。
 また、勉強などをしようと思っても、マンガやテレビ、ネットを見てしまい、目標が達成できなかったり全く取りくめなかったりした時など、これまでは「なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてばかりいました。けれど、介入立案のヒントの中では、「他の行動が強化されている」場合には、「他の行動を好子に使う」とあります。反省し、それを制限することはなくって、上手く生活にはめ込むことが大切なのだと教えてくれます。事例の中にも、バラエティ番組を見ながら腹筋をしていた学生が、腹筋をしたらバラエティ番組を見られるというように、行動の順番を「ズラす」ことで、筋トレを継続することができていました。自虐的にならずに、問題解決をしていける良い例だと思いました。

やってみよう

 僕の場合、自分の学びたいことについて英語の文献を読みたいと以前から取り組んでいました。けれど、中々進まず、半ばあきらめているような状態でした。今回、この本を読んだのも良いきっかけなので、僕もぜひじぶん実験に取り組んでみようと思います。

 実験というのはやってみないとわからないときにするものです。結果が確実にわかっていることなら、実験するまでもないし、やっても面白くありません。
 結果が予想通りにならなかったときに、その理由を考え、うまくいくまで条件を変えて挑戦する。それが実験の醍醐味です。

 チャレンジすることを励まされる言葉ですね。僕も、挑戦し、その結果を、このブログできればと思います!
 新しい一歩を踏み出す上で、コンパスのような役目を本書は果たしてくれると思います。ぜひ、一読してみてください!

使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書)
使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書)

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